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Something Special ~おいしいのその先に~

野堀貴則「いつの季節もロゼワイン日和」
スペインの復活祭セマナ·サンタ

スペインの復活祭セマナ·サンタ
野堀貴則

野堀貴則

「estación エスタシオン」オーナーシェフ。神楽坂の人気スパニッシュ「エルプルポ」を経て2015年にモダンスパニッシュとロゼワインをコンセプトに「エスタシオン」をOpen。数年前から年に一回、スペイン地方の郷土料理を学ぶ旅を続けている。特にガリシアが好き。ソムリエの資格も所持し、ワインにも精通。

  • @estacion_kagurazaka:Instagram

こんにちは、神楽坂エスタシオン野堀です。

今回はスペインの数あるお祭りのなかでも、最も息をのむようなお祭りが聖週間『Semana Santa(セマナ・サンタ)』です。2022年は4月17日になります。

セマナ・サンタは宗教的な色の濃い厳粛な雰囲気のお祭りです。スペイン全土で行われていますが、特にアンダルシアでは盛んに毎年開催されています。

陽気なお祭りを期待しているとびっくりするかもしれませんが、セマナ・サンタはキリストの受難、つまり磔によって処刑された日からキリストが復活するまでの苦しみを思い、信者としての内省を行うため1週間で、曜日ごとに過ごし方が決まっているようです。

1週間の中でも、聖木曜日からの3日間は特に重要で、たとえば、聖木曜日は7つの教会を訪問してキリストを思い感謝する日、聖金曜日は磔にされたキリストの苦しみを思って肉食を控えたり、食事を控えたりする日になっているそうです。聖土曜日はろうそくを灯して日曜日の復活祭を待ちます。

また、キリストの受難のシーンを再現した山車(神輿)を担いで街を練り歩く、『プロセシオン(procesión)』がスペインの各地で行われます。とても息をのむようなある意味不気味で宗教的な雰囲気。

セビリアのセマナ・サンタでは、各教会が持つ豪華に飾り付けられたキリスト像とマリア像の台を、教会の信者たちが担いで、教会からセビリア大聖堂まで持って行きます。

・日曜日:Domingo de Ramos、聖枝祭(せいしさい)、セマナ・サンタの始まりの日
・月曜日:Lunes Santo、聖月曜日
・火曜日:Martes Santo、聖火曜日
・水曜日:Miércoles Santo、聖水曜日
・木曜日:Jueves Santo、聖木曜日、最後の晩餐の日
・金曜日:Viernes Santo、聖金曜日、キリストが磔にされた日
・土曜日:Miércoles Santo、聖土曜日、キリストの遺骸が安置された日
・日曜日:Domingo de Resurección、復活祭、キリストの復活を祝う

伝統的にはセマナサンタの期間には肉を食べないんです。なので、スペイン人はこの時期に魚を食べます。なかでもカスティーリャ・イ・レオン地方は海がないので、食べるのはバカラオ(塩鱈)。ポルトガルを含め、イベリア半島はバカラオが根付いている地域なんです。セマナサンタに食べる典型的な料理の一つに、「Potaje de vigillia(バカラオとほうれん草と豆の煮込み)」があります。

それと菓子も1つ。それが「Torrijas(トリハス)」。固くなったバゲットを甘いミルク液に浸し、溶き卵にくぐらせてオリーブオイルで揚げ焼きしたお菓子です。スペイン版のフレンチトーストといった感じ。

この二つの料理はエスタシオンでもこの時期によく作ってます。

日本ではなかなかイースターと絡む事は少ないですが宗教の知識や歴史を知るとまた、違う角度でスペインを感じれるのかもしれません。
いつかアンダルシアでセマナサンタを体験してみたいですね。

野堀貴則

野堀貴則

「estación エスタシオン」オーナーシェフ。神楽坂の人気スパニッシュ「エルプルポ」を経て2015年にモダンスパニッシュとロゼワインをコンセプトに「エスタシオン」をOpen。数年前から年に一回、スペイン地方の郷土料理を学ぶ旅を続けている。特にガリシアが好き。ソムリエの資格も所持し、ワインにも精通。

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