永田枝理子「北スペイン探検隊!」
Platos de cuchara 寒い日はスプーン料理を食べよう

こんにちは!北スペイン料理研究家、スペイン語通訳・翻訳家のErikoです。
1月17日にアップされた、ビクトル・ガルシアさんの最新のコラム「エル カステリャーノ というお店」(コラムはこちらから)を読んで感動しました。
私も料理人の父を持ち、東京の街角の小さなお店で一人奮闘し、愛し愛される頑固な姿を見てきました。
私自身は長く飲食業に身を置いていましたが、その中である短い期間父の店で一緒に働くこともでき、今はその店はもう閉めてしまいましたが、一緒に働けた時間がとても良い思い出になっています。
ビクトルさんがエル カステリャーノさんにお客さんとして行った時の、のちに彼がレストラン業を目指すことになるきっかけになったと言う感銘のバースデーのシーンのようなものが私にもあって(そして飲食の方達は往々にしてこの体験があると思うのですが)場が一体になる高揚感や、みんなを笑顔にできる仕事に対する誇りや喜びを久しぶりに思い出して胸熱になりました。
コラムの中でビクトルさんは「接客の精神とかスペイン料理やお客様への愛とか、レストランのプライドとか、完全にエルカステリャーノと父から受け継いでます。」と書いていました。
その引き継がれた精神や愛が、今や展開する4店舗で数えきれない人々へ伝えられていること、それに触れた一人として本当に素敵だと思いました。
そして私が私の父から受け継いだ大切な気持ちも、きっと何かを伝える時の支えになっているといいなぁ、と感慨深い気持ちになった、そんな今日でした。
2012年の開店以来、10年以上が経った今でもスペイン料理の豊かさや文化を業界先頭に立って発信し続けているサルイアモールさん、ビクトルさんはじめスタッフのみなさん、本当に尊敬しています。近々また行かなくては!!
さて、昨年のことですがそんなビクトルさんと、「一番好きなスペイン料理は何?」とお話しする機会がありました。
ビクトルさんの答えは、「レンズ豆の煮込み」でした。
今をときめく4店舗のスペイン料理店オーナーが一番好きなスペイン料理が、素朴なおばあちゃん料理である「レンズ豆の煮込み」なのにも悶えます。
スペイン料理で豆料理というイメージ、もしかすると一般的にはあまりないかもしれません。
しかし実はスペインの土着料理を知るたびに、スペイン料理すなわち、それは豆料理なのではないかとも思ってしまうほど、各地でさまざまな豆料理が食べられ、主役級の存在感があることに気づきます。
日本では「スペインバル」業態が先行し根付いた影響もあり、スナック的なおつまみスペイン料理は良く知られるものも増えてきましたが、かたやしっかりしたおかず、デザート、食後酒などの、本来はスペイン料理の食事を構成する根幹の部分の浸透が薄いかもしれません。
この豆料理や、または同じくスペインの食事には欠かせない煮込み料理をまとめて「Platos de cuchara」スプーン料理と呼びます。
日本の「鍋食べよう」の感覚で、寒い日には「今日はスプーン料理にしよう」になるわけです。
ビクトルさんも好きな「レンズ豆の煮込み」、家庭によってさまざまなレシピがありますが簡単なレシピをシェアします。
たんぱく質、食物繊維も豊富で栄養も◎、優しい味わいの野菜だけバージョンです。
レンズ豆の煮込み 2人前

レンズ豆水煮缶 1個(240g) なければ乾燥レンズ豆100gほどを。レンズ豆は事前に水に浸す必要はないので楽ちんです。
玉ねぎ 1個
じゃがいも 1個
人参 1/2 本
にんにく 1片
ローリエ 1枚
オリーブオイル 大さじ3
パプリカパウダー 大さじ2
塩 適量
1.玉ねぎ、人参は小さめのさいの目に、じゃがいもは少し大きめ。にんにくは細かいみじん切りにします。
2.鍋にオリーブオイルを中火で熱しにんにくを入れて香りが出るまで炒めたら弱火にし、玉ねぎ、人参を弱火でくつくつ炒め煮にしていきます。
3.玉ねぎが透明になったら、パプリカパウダーを入れて混ぜながら炒めていきます。
4.パプリカパウダーの粉っぽさがなくなったら、レンズ豆を缶の水ごと入れ、水1カップ(ひたひたくらい)ローリエを入れて鍋の蓋をし弱火で10分煮ます。
(乾燥豆を使う場合は、豆を入れてひたひたの水で弱火で30分ほど)ここで塩を入れて味を調整。
5.その後、じゃがいもを加えてさらに15分、火を消して出来上がり。じゃがいもは最初に入れると溶けるのですがそれが好きな人は好みで。
もし、トロッとした煮込みが食べたい場合は、じゃがいもを入れる前の豆を1カップほどとり、ミキサーで回してピューレにしてから戻し、その後じゃがいもを加えて煮るのがおすすめ。
チョリソやベーコンなど肉製品を入れてももちろん美味しいです。
体が冷えてるな、と感じた時にぜひ作ってみてください。
カテゴリ:永田枝理子
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