永田枝理子「北スペイン探検隊!」
パドロンピーマンが今まさに旬!
こんにちは!北スペイン料理研究家、スペイン語通訳・翻訳家のErikoです。
スペインのピーマンで、「パドロン」という種類のしし唐のようなピーマンを食べたことはありますか?
日本でも何箇所かでパドロンタイプのピーマンが栽培されていたりするのですが、
今まさに、パドロンピーマンの産地、パドロンでは収穫真っ盛りの季節を迎えています。
ちなみにパドロンのピーマンは、スペイン語で通称「Pimientos de Padron」パドロンのピーマン、と呼ばれていますが、実はこれ、正式名称ではないんです。
正しくは「Pimientos de Herbón」エルボンのピーマンになります。
これは、元々パドロン(自治体の名前)で作られていたピーマンが人気になり、モロッコ産やバレンシア産、ムルシア産などのピーマンが「パドロン(風)のピーマン」として売り出される事態となってしまったため、本当に「パドロン産ピーマン」とわかるように、2005年、ガリシア州ア・コルーニャ県の南部(サンティアゴ・デ・コンポステーラ)の近く)に位置するパドロン自治区内の教区のひとつで、このパドロン種が初めて持ち込まれた場所とされる、エルボンの名前が採用され原産地呼称を取得しました。
スペインは各地に、ワインはもちろん、野菜や果物、魚、肉製品などにこの「原産地呼称」がついている製品が多くあります。
決められた地域の範囲内で、決められた材料で決められた作り方をすることが厳しく規定されていて、その規定をクリアした製品のみが、原産地呼称の名前を名乗ることができます。
品質や伝統の製法を守ることはもちろん、外部の偽物から、本物を守るための仕組みが原産地呼称です。
さて、そんなパドロンのエルボンピーマンですが、今がまさに、旬です!
原産地呼称にて旬も定められていて、5月~10月31日まで。その期間外の収穫は規格外となり、原産地呼称の名で呼ぶことはできなくなります。つまりただの「ピーマン」になってしまいます。
エルボンピーマンの食べ方は、新鮮なものを油でしっかり揚げて粗塩を振るというものになります。
ヘタを取ってから揚げるのが本場パドロン風。
味が濃く、果肉がジューシーで本当に美味しいです。
ところで、日本のしし唐同様、このエルボンピーマンもたまに「当たり」があります。
この当たりが、涙が出るほど辛い!
でも原産地呼称委員会の委員長曰く、「辛いのだけ欲しい」というレアな顧客もいるそうです。
その要望に応えられるということは、委員長には「当たり」がわかる?
はい、およそ、形で予想がつくとのことで、下の写真の右側(ちょっと曲がっているもの)が「当たり」、すんなりと素直に育った左側がそうではないもの、と教えてもらいました。
そして結果検証のため右側のピーマンをかじると・・・
全員が涙を流すほど、本当に辛かったです!
サンティアゴ・デ・コンポステーラへ旅行する予定がある方、いつか行ってみたい方、もし夏に行ったらぜひ旬のエルボンピーマンを食べてみてください。
もし時間があれば本当は、ぜひパドロンまで足を伸ばして本場の味を楽しむことを強く強くお勧めします。