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Something Special ~おいしいのその先に~

金子シュウイチ「no spanish wine no life」
チャコリ♪ チャコリン♪ チャコリーナ♪

チャコリ♪ チャコリン♪ チャコリーナ♪
金子シュウイチ

金子シュウイチ

都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。

  • marisqueria SoL | 六本木のスパニッシュバル

こんにちは。マリスケリアソルの金子です。
寒いですね。
こんな寒い中でも当店は旬の魚介が豊富なので、やっぱり白ワイン人気が高いです‼️
魚介に合わせるワインと言えばカバやアルバリーニョといった白ワインはマストアイテムですが、バスク地方の銘酒『チャコリ』もやっぱり外せないワインの一つです。【エルチリンギート】の新倉さんが先日こちらのブログでバスク料理の魅力についてお話していましたが、バスク地方のワインと言ったらやっぱり【チャコリ】ですよね。近年目紛しい成長を遂げているのを皆さんご存じでしょうか?
今回はそんな『チャコリ』のお話です。

チャコリと聞くと、アルコール度数9℃~11℃の微発砲で若めの酸がシャープでフレッシュな味わいのワイン。時にエスカンシアという高いところから注いで飲むワインをイメージされる方も多いかと思います。
これはこれで、お料理にも合わせやすいですし、パフォーマンスも良いし、楽しく飲むにはもってこいのワインですね。

このタイプのチャコリは伝統的な作り方で、元々地元消費用の早飲みワインとしてバスク地方では広く普及していました。しかしその後外国産のワインの介入やフィロキセラ、うどん粉病、ベト病といったブドウの病気により壊滅状態に陥っていました。しかしDO(原産地呼称)と言われる簡単に言うとある一定の品質を認めますよという認証と、アナ・マルティン女史の取り組みなどにより見事復活を遂げるのです。
その後米国のマーケットに進出し、爆発的に輸出量を上げていくのですが、近年新たな試みも増え、注目エリアとして更に人気が上がっています。

この【チャコリ】がどのように進化しているかと言いますと、気候変動に適応する為の変化、異なる地域のテロワールへの科学的根拠に基づいたアプローチ、新たな醸造にトライする生産者が頭角を表してきたことの3つと言われています。
主にチャコリの生産はバスク州、ナバーラ州、カンタブリア州、ブルゴスなどで生産されていますが、特にDO(原産地呼称)を認定したバスク州のゲタリア県、ビスカイヤ県、アラバ県では大きな変化が起こっています。

ゲタリア県は2007年に生産地が拡大されるまでは、良質な産地は、DOゲタリコ・チャコリーナの中心であるギプスコア海岸であったと言われていました。ゲタリア、ザラウツ、アイアからなるこの地は、海に近いことが特徴で、ゲタリアでも、ガラテ山と海岸の間に傾斜する斜面に最高のブドウ畑があると言われています。

ビスカイヤ県では、海岸沿いのバキオとエンカルタシオネス地方のバルマセダが最も個性的な地域と言われています。土壌や気候の変動は非常に大きく、降雨量は年間1,000〜1,300mmと幅があります。ビスカイヤを代表する生産者イチャス・メンディでは収穫完了まで30日に分け。ブドウの熟成に伴い3段階に分け、1週目はレイオアやエランディオといった骨格を与える地区、2週目はエレガントさと複雑さを求めるウルダイバイ地区で、3週目は特に酸の源となるモルガとドゥランゴの高地畑で行っていたりしています。

1877年に550ヘクタールに達したアラバ県では、ビルバオに注ぐネルビオン川の上流域にブドウ畑が広がっています。ビスカイヤのブドウ畑を内陸に拡大したような場所といえます。大西洋の影響は受けているものの、降雨量は少なく(約900mm)、芽吹きは遅く、そのため収穫が遅れ、リンゴ酸が木に落ちるが、酸度は1リットルあたり8g以上を保つことができるそうです。

ゲタリア県のギプスコア県でみられる微発砲のフレッシュで若々しい低アルコールスタイルから、ビスカイヤ県ではこの伝統的製法を超えて、より複雑な領域を探求して、澱と共に熟成させるシュール・リー製法にたどり着きました。このスタイルはイチャス・メンディーにより初めて取り入れられました。微量の国際品種などをブレンドしてボリューム感、複雑さ、長いストラクチャーを見事に表現しています。
その他には遅摘みのオンダリビ・スリを用いて甘みと酸味とアロマテックなジュラソンスタイルの甘口のスイートワインの成功も大きいと思います。
そしてオンダラビ・ベルツァで造られる淡いロゼスタイル、通称『雄鶏の目(Ojo de gallo)』と呼ばれるロゼワインも注目されています。

そして長年課題だった熟成タイプの白ワインが今躍進しています。元はアラバのテンテヌエブロのロベルト・オリバンが2014年に栗の樽で造り出した『Udico』の影響が大きいとされています。その後オリバンのアドバイスでタライ・ベリ、ベンゴエツェ、バット・ガラなどの生産者がアラバやゲタリアで様々なスタイルの熟成ワインを試みてきました。新しい生産者の中には素焼きの粘土の甕(Tinajas)や卵型のコンクリートなどを使用するもの、SO2無添加にトライするもの、酸化熟成やオレンジワインを実験的に行う生産者も現れてきています。

ギプスコアのスパークリングワイン(Espumoso)は今後一番成長すると言われています。この地域の特徴の高レベルの酸性度とリンゴ酸が、シャンパーニュを彷彿する熟成型の極上のスパークリングワイン(Espumoso)として誕生しています。

そして赤ワインに関してはもともと生産量が少なかったのですが、オンダラビ・ベルツァ以外にも絶滅寸前だったベルデサリア(berde saria)、ガスコン(gascón)などの品種も再興しています。

このようにバスク地方の3県では異なる地域の歴史、栽培の伝統、地域ごとの特性と向き合いオリジナリティーを生かしたワインメーカーが沢山羽ばたいていいます。
是非機会があれば今のチャコリに触れてみてください。特に熟成タイプと、スパークリングを手に取って頂きたいと思っています。そしてもし美食の街『バスク』を訪れることがあれば、バルでまずはエスカンシアのパフォーマンスと共に伝統的なチャコリを楽しむのも良いと思います!
でもその後は是非進化したチャコリをピンチョスや美味しい魚介料理と共に楽しむのも楽しみの一つだと思います。
何と言っても
『チャコリ、チャコリン、チャコリーナ♪』
この可愛らしく親しみやすいこのネーミングが良いですよね…。

最後にそんなバスクで一躍有名になったあのバスクチーズケーキ(Tarta de Queso)をご自宅でいかがですか??

魚介専門店六本木一丁目「マリスケリアソル(marisquería sol)」のご紹介

魚介専門店六本木一丁目「マリスケリアソル(marisquería sol)」
店舗情報
住所 〒106-0032
東京都港区六本木2-3-6セントラルクリブ六本木2-1F
アクセス 東京メトロ「六本木一丁目駅」3番出口より徒歩2分。東京メトロ「溜池山王駅」13番出口より徒歩6分。東京メトロ・都営大江戸線「六本木駅」6番出口より徒歩7分。「六本木一丁目駅」3番出口を出て、歩道橋で麻布通り・六本木通りを渡る。歩道橋を降りて、すぐ右手に現れる店舗へ。
URL http://www.marisqueria-sol-roppongi.com/
金子シュウイチ

金子シュウイチ

都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。

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