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Something Special ~おいしいのその先に~

金子シュウイチ「no spanish wine no life」
スペインのアイラインドワイン カナリア諸島 テネリフェ島編

スペインのアイラインドワイン カナリア諸島 テネリフェ島編
金子シュウイチ

金子シュウイチ

都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。

  • marisqueria SoL | 六本木のスパニッシュバル

こんにちは。マリスケリアソルの金子です。
6月ですね。僕の大好きなさくらんぼの時期です。
この時期ワイン畑では開花を迎え、咲いた花がしっかりと受粉に成功するとブドウの実ができ、ここから徐々に忙しさがまして来る時期となります。

丁度大きな台風2号が日本列島を巻き込み災害をもたらしていますが、この時期に強い風や、雨が降ってしまうと受粉が上手くいかないで実が死んでしまいます。日本も北海道から九州まで全国でワイン造りが行われていますので台風の影響が出ないことを願ってます。

さて前回カナリア諸島のランサローテ島について触れましたが、今回はカナリア諸島の中心の島、テネリフェ島について少しお話したいと思います。

つい先日スペインの最高峰のコルピナットの造り手グラモナのアナ女史とお話させて頂く機会がありましたが、畑のあるペネデスの地でも気候変動や温暖化の変化に向けて、ピレネー山脈の高台でブドウ栽培を始めているというお話を聴きました。最新鋭の技術を駆使して最高峰のワインを手掛けているグラモナも環境の変化に応じて様々な取り組みを行っていると。

牛を飼い、羊を育て、鷹を放ち、自然の摂理に基づいた栽培を始めていると。

先月北海道余市のドメーヌ・モンの山中さんとメイカーズディナーを開催しましたが、醸造家の山中さんも同じような事をおっしゃっていました。

今回のお話、ここテネリフェ島では遥か昔から。変わらないブドウ栽培を続けてきています。むしろ変える理由がそこにはなかったのか、中には1500メートルを超える高台で、急こう配の畑では、機械が入ることも難しく、自根のままのフィロキセラの影響もなく育ち続けています。

そんなテネリフェ島はカナリア諸島の中で最大の2034kmの面積をほこり、人口も最大です。この島にはテイデ山(Pico del Teide)とういうスペイン最高峰の火山があり標高は3718m。そう富士山と丁度同じぐらいの高さです。

テネリフェ島にはテイデ山を囲むように五つのDOが存在します。

丁度東京都ぐらいの大きさしかないテネリフェ島ですが、ミクロクリマ(微気候)といわれ、島の様々な箇所で気候が異なるのが特徴です。テイデ山の南は一年中暖かく晴れていて、雨量も少なく乾燥した砂漠地帯のような場所です。マリンスポーツなどを楽しむ観光客でにぎわいます。

そして北側は北東から吹く貿易風(アリシオス)の影響で雨が多く降ったりと様々な特徴があります。今回はDOごとにその特徴をご紹介したいと思います。

◉タコロンテ・アセンテホ Tacoronte Acentejo

テネリフェ島北東に位置し、栽培面積の40%、カナリア諸島のワイン面積の20%を占め、カナリア諸島で最も密集したブドウ園の栽培地域です。海抜100〜1,000メートルに位置し、火山性土壌で畑は海に面した北向きの急こう配が特徴です。

◉バーリェ・デ・ラ・オロタバ Valle de la Orotava

ここの地域の特徴といえばなんといっても世界で唯一無二の栽培方法コルドン・トレンサード(Cordón Trenzado)と呼ばれる編み込み仕立てです。上り坂に沿って、古い枝と新しい枝を一緒に地面からの高さは60~90センチに位置手さ作業で編み込む栽培方法です。狭い場所なら3~5メートル。蔓が丈夫な木の場合は15メートル以上にもなるのだとか。そしてブドウの収穫後は可動式のとなるぶどうの木を移動させ、カナリアの伝統野菜古代じゃがいもを植えるのだという。これは果たして二毛作っていうのかな。でも先人の知恵は素晴らしいですね。

◉イコデン・ダウテ・イソーラ Ycoden Daute Isora

海抜は50~1400mと幅広く、灰の上に火山岩に覆われた土壌となっています。この地域のワインは15世紀に植民地化した後、ワイン生産が普及し、ガラチコ港からはアメリカやイギリスの王族、貴族、シェイクスピアなどに愛され大量に出荷されました。当時のワインは【マルマジー(Malmsey)】と呼ばれ甘口のマルバジアから造られるフ甘口ワインが主流でしたが、原産地呼称に入った1991年以降巡るましい進歩を遂げています。

◉アボナ Abona

テネリフェ島の南部に位置し沿岸地域の乾燥した地中海性気候が特徴で、日照量も多いエリアですが、定期的に吹く貿易風(アリシオス)によって冷やされ、暑くなりすぎずに保たれています。中部エリアは【ハブレJable】と呼ばれる火山灰に覆われた砂質土壌。高地では有機物質を多く含んだ粘土質土壌と水はけの良い火山灰が特徴だが、収穫量がとても少ないのが特徴。

◉バーリェ・デ・グイーマルVallede Güímar

グイマール渓谷というテイデ山の南側のエリアにボデガが点在しています。標高2000メートルから海に向かって傾斜が続き600~800メートル地域にボデガが集中し、1200~1500メートルのLas Dehesas と Los Peladosにスペインでも最も高いのボデガがあります。栽培方法はブドウ品種によって異なりますが、伝統的栽培方法とトレリス栽培方法という格子の支えを使った栽培方法が特徴です。

お分かり頂けましたでしょうか?こんなに小さな島一つでも、ミクロクリマや地形の影響によって様々な味わいの変化をもたらしているのもこの島の特徴といえるのではないでしょうか?ブドウの種類や栽培方法もエリアごとに違いがあります。カナリア諸島のワインを飲む機会があったら是非、こういったサブゾーンにも目を触れて見るとまた楽しむ一つのきっかけになると思います。

もしご興味あればお店でもお待ちしています。

それではまた次回お会いしましょう。

魚介専門店六本木一丁目「マリスケリアソル(marisquería sol)」のご紹介

魚介専門店六本木一丁目「マリスケリアソル(marisquería sol)」
店舗情報
住所 〒106-0032
東京都港区六本木2-3-6セントラルクリブ六本木2-1F
アクセス 東京メトロ「六本木一丁目駅」3番出口より徒歩2分。東京メトロ「溜池山王駅」13番出口より徒歩6分。東京メトロ・都営大江戸線「六本木駅」6番出口より徒歩7分。「六本木一丁目駅」3番出口を出て、歩道橋で麻布通り・六本木通りを渡る。歩道橋を降りて、すぐ右手に現れる店舗へ。
URL http://www.marisqueria-sol-roppongi.com/
金子シュウイチ

金子シュウイチ

都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。

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