金子シュウイチ「no spanish wine no life」
春の苦みの味覚とスペインワインのマリアージュ
都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。
こんにちは。花粉症に苦しむマリスケリアソルの金子です。
僕にとっては辛い春ですが、春になると、どうしても惹かれる味があります。
それが「苦味」です。
スーパーに菜の花やアスパラが並び始めると、「あぁ、春の苦味が恋しい…」なんて思いませんか?実はこれ、冬の間に溜まった老廃物をデトックスしようとする、身体の本能的な欲求なんです。
今回は、そんな春野菜の「心地よい苦味」を、スペインワインで100倍おいしく楽しむための科学的テクニックをサクッとご紹介します!
まず初めに覚えておいてほしいのが、
【苦みのある食材×苦みを感じるワイン】
を避けることです。
苦味は【毒の可能性を知らせる味覚】と言われています。そのため、人間は苦味にとても敏感です。少しの量でも強く感じてしまいます。
そしてワインの中にあるポリフェノールやタンニンも苦味があります。
つまり料理とワインの苦味が重なると、単純に考えると
苦味 × 苦味
になってしまってしまい、これが「苦味のある料理はワインに合わない」と言われる理由です。食材によって様々な香りや成分があると思いますが、春食材と合わせるときのポイントは以下の4つです。
① タンニンが強いワインを避ける
② 塩味は苦味を弱める。
③ 酸味は苦味の輪郭を整える。
④ 脂肪は苦味を包み込む。
つまり塩やオリーブオイルやレモンやビネガーをたくさん使うスペイン料理は苦味とワインをつなぐ構造をもともと持っている料理なのです!
では春の苦味食材とワインの具体的な例を少し紹介してみますね。
1. 【菜の花 ✕ アルバリーニョ:潮風の魔法】
菜の花のあの「ツンとした苦味」の正体は、イソチオシアネートとポリフェノール。青さと軽い辛味を伴うのが特徴で、最も“春らしい”味わいと言える。個性が強くてケンカしがちですが、ここに合わせたいのがスペインの海のワイン、アルバリーニョ!
• ここが科学!:アルバリーニョは、大西洋の潮風を受けて育つため、ワインの中に微かな「塩味」を含んでいます。この塩味が、菜の花のイソチオシアネートによる刺激をマイルドに包み込む「抑制効果」を発揮します。レモンを絞るような感覚で、爽快に楽しめますよ。

2. 【ホワイトアスパラ ✕ ベルデホ、シェリーフィノ、ロゼ:香りの共鳴】
アスパラ特有の「土っぽい、グリーンな香り」は、ピラジンという成分。それと「アスパラギン酸」は、ワインをメタリック(金属的)に感じさせる厄介な性質があります。普通のワインだとこの香りに負けちゃうのですが、ルエダ地方のベルデホなら大丈夫。
• ここが科学!:ベルデホ自身もピラジン系の香りを持っているので、お互いの香りがピタッと重なる「同調効果」が起きます。アスパラの甘みを引き出す最強のコンビです!シェリーフィノも特有のアセトアルデヒドの香りが、アスパラの硫黄的なニュアンスを完璧に抑え込み、旨味だけを抽出してくれます。
スペインのホワイトアスパラと言えばナバーラ地方の名産食材、マヨネーズやアリオリソースやビネガーと塩でシンプルに食べますが、ここではナバーラのロゼもよく合います。
3. 【タラの芽 ✕ ゴデージョ マスキングの手法】
山菜の王様たちは、とにかくサポニンやポリフェノール(苦味と渋味)が強力!油との相性がいいのが特徴。天ぷらやフリットにしたときの“旨い苦味”はここから来ている。重い赤だと渋みが大爆発…。
• ここが科学!:この苦みをうまくまとめてくれるのがゴデージョ。少し厚みのならゴデーリョなら油を受け止めつつ、苦味を丸くまとめてくれる。
4. 【蕗のとう ✕ メンシア:大地のマリアージュ】
これはかなり個性が強い。苦味の中心は**フキノリド(セスキテルペンラクトン)**と呼ばれる成分で、あの突き抜けるような香りと刺激はこれによるもの。ちょっと通な楽しみ方なら、ビエルソ地方の赤ワイン、メンシア。
• ここが科学!:メンシアは赤なのに渋みが穏やかで、スミレのような香りが特徴。これが蕗のとうの「土から芽吹いた香り」と分子レベルでシンクロします。赤ワイン好きにはたまらない発見になるはず!
5.【筍×ガルナッチャ】
苦みというより“えぐみ”に近いニュアンスですね。ホモゲンチジン酸などのフェノール系化合物。ただし下処理でかなり軽減され、最終的には甘みと食感が前に出る。
• ここが科学!:軽いガルナッチャ特に標高の高いグレドス山脈のガルナッチャが筍のほのかな苦味と、火入れによる甘みが赤い果実とリンクする。
まとめ:春の苦味は「ワインの酸と塩味」で味方にする!
春の食材を攻略するコツは、「ワインの酸味や塩味で苦味をなだめる」こと。そして、渋みが強すぎないものを選ぶのが鉄則です。
今年の春は、科学のスパイスをちょっぴり効かせて、スペインワイン片手に旬の味覚を楽しみ尽くしませんか?
魚介専門店六本木一丁目「マリスケリアソル(marisquería sol)」のご紹介

| 店舗情報 | |
|---|---|
| 住所 | 〒106-0032 東京都港区六本木2-3-6セントラルクリブ六本木2-1F |
| アクセス | 東京メトロ「六本木一丁目駅」3番出口より徒歩2分。東京メトロ「溜池山王駅」13番出口より徒歩6分。東京メトロ・都営大江戸線「六本木駅」6番出口より徒歩7分。「六本木一丁目駅」3番出口を出て、歩道橋で麻布通り・六本木通りを渡る。歩道橋を降りて、すぐ右手に現れる店舗へ。 |
| URL | http://www.marisqueria-sol-roppongi.com/ |
都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。
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