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Something Special ~おいしいのその先に~

岩瀬大二「酒で旅するスペイン」
しらすとオリーブオイルと焼酎ハイボール

しらすとオリーブオイルと焼酎ハイボール
岩瀬大二

岩瀬大二

酒旅ライター、ワインナビゲーター、MC。専門誌、WEBマガジンをはじめ酒と旅をテーマとした執筆多数。ワイン学校「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本最大級のスペインフェス「フィエスタ・デ・エスパーニャ」2020年実行委員長。

  • daiji iwase+W

都内、全国の風情のある商店街を巡り、酒に合うアテを探す…という仕事をしています。
焼酎ハイボールなのでスペインとは違う世界ですし、日常の商店街ということで縁がなさそうなんですが、いろいろ探ってみると、いろいろ接点を発見し、驚くことも。

私の生まれ育った場所の近く、戸越銀座に始まり、谷中、十条、高知ひろめ市場、横浜中華街と回って今回訪れたのは三ノ輪の商店街。ここでの取材先、1軒目はしらすの専門店。豊洲の仲卸で働いていたという店主が1年半ほど前に開いた小さな店ですが、もう地元商店街では口コミで評判となり、連日、買い物客が途切れることはないという盛況ぶり。下町の商店街プライスでデパートやホテル、レストランや料亭に卸すレベルのしらすや干物が買える、というのが要因でしょうが、それとともに、日常に美味しいしらすを食べるという習慣が定着したというのも大きなことでしょう。ここで店主に教わった「酒が止まらないしらすの一品」。そこに登場するのがオリーブオイル。

記事中に紹介していますが、かんたんにレシピを。レシピと言っても実に単純。豆腐にたっぷりしらすをのせ、おろししょうが加える。そこにオリーブオイルをお好きなだけかける。お酢を少し加え、色どりと清涼感に大葉や小松菜をお好みで。オリーブオイルという言葉がなければしらすの冷奴、つまり純和風な酒のつまみ。でも不思議にそれだけだと焼酎ハイボールには物足りない。そこにオリーブオイルがあることで、居酒屋の定番酒、焼酎ハイボールとぴったりあってしまうんです。焼酎ハイボールに使われる焼酎は、甲類というスッキリ、純度の高いものなんですが、宝さんの場合、この焼酎も熟成と絶妙なブレンドで、スッキリだけどまったり、ゆるやかなテクスチャーとうまみがあって、これがオリーブオイルとよくあうんですね。しらす屋の店主も、「これで何杯でも飲めちゃうんです」と笑顔で困り顔。これ、本当に止まりませんでした。少し七味やタバスコをふって味変すると、さらに…。高知ひろめ市場でであった極上のカツオのタタキ。塩だれのカツオにオリーブオイルをひと回しして、これと焼酎ハイボール。舌先にまったりとからみつく味わい、そこからの一体感。そのままでももちろん美味しいのですが、これもまたオリーブオイルによって焼酎ハイボールと見事なペアリング。
他にもしめ鯖にオリーブオイル、豚汁風にした野菜と肉に生ハムスープをかける、ハモンセラーノを海苔で巻いて、マンチェゴチーズには山椒、ささみの焼き鳥に少しスペインの蜂蜜を。日常の和の肴とスペイン食材を組み合わせると、スペインが日本酒に、居酒屋メニューがスペインワインやシェリーに寄り添っていきます。

「いつも感」と「いつもと違う感」。今回のしらすも、そのまましらすおろしなど和のままご飯のお供にもなるし、スペインアレンジを加えることでいつもと違う感があり、新たな酒との世界が生まれます。本格的なスペイン料理や、王道の和食はお店にまかせて、家では和、スペインとカテゴリーを決めつけず、好奇心のおもむくまま、いろいろな組み合わせを楽しみましょう。そして、酒とのよき時間を。

岩瀬大二

岩瀬大二

酒旅ライター、ワインナビゲーター、MC。専門誌、WEBマガジンをはじめ酒と旅をテーマとした執筆多数。ワイン学校「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本最大級のスペインフェス「フィエスタ・デ・エスパーニャ」2020年実行委員長。

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