増渕友子「カタルーニャのこと色々」
「Carquinyoli カルキニョーリ」
私がカタルーニャ時代からずっと作り続けているお菓子があります。
カルキニョーリ(複数形だとCarquinyolisカルキニョーリス)という、アーモンド入りのビスコッティです。
コーヒーや食後酒のお供に欠かせないカタルーニャの伝統菓子で、現地の昔ながらのお菓子屋さんには必ず置いてあります。
食後のコーヒーと共にサービスされる小菓子、いわゆる「Petit four プチフール」は、高級なレストランには付き物です。
素晴らしい料理が次々と出され、さらにデザートまでしっかり堪能したら、もう何も入らないくらいお腹一杯なのに、
さらにプチフールが登場します。まるで小さな芸術品のような、チョコレートやマカロン、フィナンシェなどが、いくつもいくつも・・・
まさに贅沢の極み。ミシュランの星の数が増えるほどプチフールの数も増えるのでは?と思うほどです(笑)。
私のシェフは、そんなに沢山プチフールは要らない、という主義で「すごく美味しいものが2つあれば良い」と言い、
常にカルキニョーリとトリュフチョコレートの2つだけをサービスしていました。
私が作るカルキニョーリは美味しいとよく皆から言ってもらえました。
仕事を褒められるのは当たり前に嬉しいし、何よりの励みでしたが、
当時の私にとって、その土地の伝統菓子を上手に作って褒められるのは、格別に嬉しいことでした。
自分が「外国人」だという垣根をちょっと飛び越えたような気持ちになれたからです。

まず生地を捏ね、大体まとまったところへホールのアーモンドを混ぜ込みます。
それを太い紐状にしてオーブンに投入。焼き上がりの頃には香ばしい魅惑的な香りが厨房中に立ち込めて、
太い紐はさらにひとまわり太くなり、こんがりと濃いきつね色に。
冷めてしまった後では固まって切れなくなってしまうので、焼き立ての熱くて柔らかいときを逃さずに、
包丁で1cm幅にカット。切り口にアーモンドが白く姿を現します。
シンプルな飽きの来ない美味しさ。カタルーニャ人には勿論のこと、私たち日本人にとっても、
なぜか懐かしく思える味わいなのです。
カタルーニャ語に、sobretaula ソブレタウラ という言葉があります。
食事の後、テーブルから離れずにいつまでもお喋りを楽しむ時間のことを指します。
大切な人たちとの楽しい語らいに、コーヒーや食後酒、そしてカルキニョーリ。
そんなときに何よりもぴったりなのがこのお菓子だと思います。

カタルーニャ厨房 カサマイヤ
カテゴリ:増渕友子
タグ:カタルーニャ, Carquinyoli, カルキニョーリ



























