増渕友子「カタルーニャのこと色々」
カルソッツ
カタルーニャの冬の風物詩と言えば真っ先に挙げられるのが
カルソッツ Calçots
という長ネギです。
カタルーニャのタラゴナ県のVallsヴァイスという町辺りがカルソッツの産地として知られています。
直火で真っ黒に焼いて皮をむき、Romescoロメスコというソースをつけて食べます。ロメスコは、Nyoraニョラという乾燥パプリカ、アーモンドやヘーゼルナッツ、トマト、ニンニク、オリーブオイルなどから作るオレンジ色のソースです(カルソッツにはロメスコではなく、Salvitjadaサルヴィジャーダというソースをつけるのが正しいと言うカタルーニャ人もいますが、この2つのソースはとてもよく似ていて明確な違いが私にはわからないので、ロメスコで良しとします)。
焼いてトロッと柔らかくなり、甘みを増したネギと、このコクのあるソースの組み合わせは格別の味わいです。
カタルーニャ人はこのカルソッツが大好きで、季節になると、皆こぞって「カルソッツを食べに行こう!」と田舎のレストランへ足を運んだり、大量に買い込んで友人達と自宅で焼いて食べたりと、旬の味覚を堪能します。カルソッツを食べる食事会やイベントはCalçotadaカルソターダと呼ばれ、市町村のお祭りとしてカルソターダが催されることもあります。
私が初めてカタルーニャでカルソッツを食べたのは、レストランではなく友人宅でした。
用意されていたカルソッツの量にまず驚きました。こんなに食べるの!? 1人10本~20本でしょうか。庭で焼いた大量のカルソッツは新聞紙にくるまれて室内へと運ばれ、さあカルソターダの始まりです!
カルソッツの青い部分を片手で持ち、もう片方の手で真っ黒の皮をむく。
現れた芯の白いところをオレンジ色のソースにタプッと浸してから、それを高く持ち上げ、顔を上に向けて口をあーんと開けてパクリ。
少々お行儀が悪いですがこれがカルソッツの正しい?食べ方。手は汚れてゴミも散らかり、かなり無礼講ですが、それがまた楽しくて美味しいのです。
そしてネギの後には肉も焼く。たらふくネギを食べて既にお腹いっぱいのところに、ブティファラ(カタルーニャのソーセージ)やら、仔羊のグリルやらが出てきます。肉も食べ、ワインも進み、皆上機嫌でギターの演奏も始まったりと、楽しい宴となりました。
カサマイヤでは毎年冬に群馬県下仁田町から下仁田ネギを取り寄せてカルソターダのコースをご用意しております。
カタルーニャの冬の風物詩をぜひご堪能下さい。