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Something Special ~おいしいのその先に~

常田諭史「el puente 〜 スペインの語り部」
感じるガリシア

感じるガリシア
常田諭史

常田諭史

TOMATE代表 SpanishWineExclusivesワインの輸入販売、スペインワイン講師。グランジャポン セールスマネージャー。

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Hola!! 常田諭史です。
スペインに大好きな“人”ができ、その人たちが食している食べ物とそれに合わせる美味しいワインと出会う中で、食文化の魅力に少しずつのめり込んでいきました。スペイン中を旅してみると、各地でその地ならではの郷土料理と最高の組み合わせのワインがあり、驚きの連続でした。そこには必ず、“人”との出会いがあり、その“誰か”を中心にテロワールもひっくるめハマっていきました。
今回のテーマはガリシア地方です。降水量が多く、緑豊かな風景を織りなす土地のため、アストゥリアス、カンタブリア、バスク、リオハ等と共にグリーンスペインとも呼ばれる地域です。日本人にとってはメジャーな観光地では無いですが、訪れたことのある人はほぼ絶対?!に好きになってしまう、多彩な魅力溢れる地域です。このコラムを読んで、ガリシア地方を感じでみてください。

海と山に囲まれたガリシア州。イベリア半島の北西に位置し、南はポルトガル、東はアストゥリアスとカスティーリャ・イ・レオン州に接しております。大部分はガリシア山地が占めており、東部を中心になだらかな山間部が広がります。西部は大西洋に囲まれ、複雑に入り組むリアス式海岸が続きます。南部にはガリシア州で最長のミーニョ川が流れています。

独特の気候と風習を持っているため、いわゆる「情熱の国スペイン」のイメージを良い意味で裏切るような地域です。雨の日そして緑の自然が多く、人々はスペイン語の他にも、独自の言語ガリシア語を使います。性格的にもどこか控えめなところもあり、Yes、Noをはっきり言わない人も多いでしょうか。

ガリシア州と言ったら必ず行くべき場所の一つに、世界遺産「サンティアゴ巡礼の道」最終地点である、サンティアゴ・デ・コンポステーラがあります。ロマネスク様式の大聖堂には、キリスト十二使徒の一人聖ヤコブの遺骨が納められており、キリスト教のエルサレム、バチカンと並ぶ三大巡礼地の1つです。街は世界各国から巡礼者が集い活気に満ちています。巡礼の道の長い旅のゴールでは疲れた巡礼者を、バルやレストランで美味しい食事とワインが心身を癒してくれるのです。巡礼の道では、シンボルのホタテ貝のマークが目印となって人々を聖地まで導きます。

このサンティアゴ巡礼については是非、野堀さんのコラムをご覧ください:

ガリシアの食文化にはこの地の豊かな自然環境の恩恵が詰まっています。海水と淡水が混じり養分の豊富な漁場となるリアス式海岸(日本で言う三陸海岸)は、海水の温度が低く極上のムール貝や牡蠣などの養殖が可能となります。その他にも、帆立貝やマテ貝、タラ、アンコウ、タコ、マグロなどのスペイン一の魚介類が揚がり、新鮮で最良な状態で食べられます。魚介類以外にも、パドロンピーマン、豆類、良質な牧草を食べて育つガリシア牛、テティージャの名前のチーズなど、スペイン最高の食材が揃う場所です。

名物料理としましては、プルポ・ア・フェイラ(タコのガリシア風)、エンパナーダ、カルド・ガジェーゴやラコン・コン・グレロスなどの煮込み。デザートには、フィジョアスという名のクレープ、そしてタルタ・デ・サンティアゴは、アーモンドと卵と砂糖で作られるシンプルなケーキ。サンティアゴ・デ・コンポステーラの修道院で作られたのがその始まりとされ、聖ヤコブの十字架をパウダーシュガーでかたどるのが特徴です。

食後酒には、葡萄の搾りかすから作られるホルホが名産物です。ガリシア産オルホは国内最良の蒸留酒とされます。アルコール度は37%〜45%前後。こんな強いお酒をいつ飲むのか思われるでしょうが、スペインの人たちは理由があって(を付けてなのか?!笑)良く口にするのです。「食べ過ぎた時には、消化を助ける」「飲み過ぎた時には二日酔いを防ぐから」と言って、私もオルホを何度も勧められたものです笑 中にはただ飲ませたいだけの人もいましたが。そんな時もさらっと美味しく飲んでやりましたが笑

そしてワインのお話も。
ガリシア地方は特に白ワインが有名ですね。上記の新鮮な魚介類と合わせたら最高です!リベイロという地域では、日本酒のお猪口のような磁器の杯で飲む特徴もあり、日本との共通点が見られます。日本酒好きな自分としては、堪らない飲み方です。
ガリシア地方の白ワインに使われる最も有名品種はアルバリーニョ。スペイン一高貴と呼ばれる品種で、その所以は特徴的な香り高さにあります。ガリシア地方はスペインの中でも特に雨が多く日射量の少ない地域ですので、昔からしっかり熟した赤葡萄での赤ワインより、白ワインの方が多く造られます。アルバリーニョはそんな雨の多い気候にも耐え、個性をしっかり表現する優秀な品種なのです。ワイン作りにおいて葡萄の一番の病害は降水量や湿度によるカビです。アルバリーニョは皮が他の葡萄品種に比べて厚いためにカビによる病害に強い。そして皮の比率が多いということは、皮からの香り成分が多いため、できるワインもが香り高いのです!葡萄の種からはタンニン、果肉からは水分と糖分があるが香り成分は、ほとんどが皮から得られるのです。
そしてもう一つの個性は、葡萄畑が海風のあたるところにあることからか、ワインもどこか海のニュアンス(塩味)を感じる特徴を持ちます。日本の葡萄園の様な棚敷栽培で育てられるのも見所ですね。これは湿度避けで風通しをよくするためです。スペインを旅したら、是非日本人には見ていただきたい畑の風景です。

お料理との組み合わせとしては、この地のアルバリーニョだからこそのミネラル感と塩味が、魚介類全般との相性は最高です。日本でもアルバリーニョのワインは容易に出会えますので、美味しい魚介類とアルバリーニョのワインを合わせて、現地を想像しながら召し上がってみたらいかがでしょうか。

白ワインだけでなく、赤ワインも実は有名です。品種はメンシア。スペインらしからぬ特徴を持ったワインに仕上がり、世界のワインラバーを虜にするワインがガリシアで生まれます。
聖なる秘境リベイラサクラという名のワイン産地は、ミーニョ川の支流シル川沿いにある深い渓谷の急斜面に葡萄畑が広がっており、スペイン国内随一の美しい畑の景色が見られます。沿岸部よりは海洋性の影響がやや減り、年間降水雨量も少なくやや暖かいため、赤ワインを造ることができます。スペインの全国平均よりは涼しい点と、この地の土着品種メンシアならではの特徴から、できるワインは上品な果実味を持つ、エレガントなものに仕上がります。

断崖絶壁にある葡萄畑では、手作業で管理するしかなく、かなりの重労働です。その努力の結晶がワインに現れます。厳しい環境から生まれるワインなのに、香りや味わいからは、上品さや可愛らしさ、そしてしなやかさを感じるのが不思議な魅力です。是非、一度この地を訪れて、その雄大な葡萄畑の風景を目にしていただきたいです。あの場所にしかない最高に美しい風景です。写真や映像では伝えきれない感動がそこにはあります。そしてワインがそのテロワールや人の仕事の全てを表現していること、その地を見てから飲むと、はっきりと感じられます。私はこの地の虜になってしまいました。

いかがでしたでしょうか。ガリシアを旅した気分になっていただけましたでしょうか?何より、行きたくなっていただけたのでしたら嬉しい限りです。グランジャポンでは、いつか皆様をお連れして現地スペインワイン旅行に行きます!今年度はその予行練習にと、旅の定期便とプレミアムフライデーを毎月の様に開催しています。是非、日本では定期便やプレミアムフライデーを楽しみ学び、近い将来はスペインへご一緒しましょう!

スペインの風土や文化をワインと食を通して「旅するような感覚」をご自宅にお届けする四季の定期便、2022年秋のテーマはガリシア州を含む、「スペイン北西部」でした。
次回(2023年1〜3月)のテーマはスペイン中央部。いったいどんな旅が待っているのでしょうか!?
旅する四季の定期便はこちらのリンクよりお申し込みいただけます:

次回もお楽しみに〜
¡Hasta la proxima!

常田諭史

常田諭史

TOMATE代表 SpanishWineExclusivesワインの輸入販売、スペインワイン講師。グランジャポン セールスマネージャー。

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