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Something Special ~おいしいのその先に~

増渕友子「カタルーニャのこと色々」
第二の故郷カタルーニャ

第二の故郷カタルーニャ
増渕友子

増渕友子

イタリア、スペイン・カタルーニャ州のレストランでの修行経験を経て、帰国後2011年よりカタルーニャ料理ベースのレストラン「カタルーニャ厨房カサマイヤ」シェフ。

  • レストラン「カタルーニャ厨房カサマイヤ」
  • @casamalla:Instagram
  • カタルーニャ厨房 カサマイヤ Facebookページ
  • カサマイヤ料理教室 YouTubeページ

今年の2月にカタルーニャへ行ってきました。コロナ禍を経て4年ぶりの里帰りです。

私は純日本人ですので、異国の地に里帰りなんて言うと「里帰り?」と笑われることもありますが、冗談でも大げさでもかっこつけでもなく、他に代わる言葉もないくらいに私が時々カタルーニャへ行くのは「里帰り」であり、カタルーニャを「第二の故郷」と思っています。

そこまで思えるようになったのは、素晴らしいお店とオーナー家族に出会えて、良い環境で長年働くことができたからです。

バルセロナから100km北のサガスという小さな村にあるレストラン

Els Casals エルス カサルス

(カタルーニャ人の発音ではアルスカザルスが近く、微妙な発音)

私がこのお店に、大荷物を抱えてイタリアから辿り着いたのは2004年の9月のことでした。

シェフのオリオールと、すぐそばにあるシェフの実家Casa Mallaカサマイヤのロヴィーラ家の人達は、突然やって来た外国人の私を、何の抵抗もなくとても自然に温かく迎え入れてくれて、何かに導かれて来たような気持ちになりました。

それから6年4か月の間、忙しかったり、大変だったり、嬉しかったり、楽しかったり、悔しかったり、失敗したり、本当に色々なことがありましたが全て自分の糧となり、今に至ります。

入り口にサインがあるように2008年度版からミシュラン1つ星で、この星獲得に居合わせたことも忘れられない貴重な経験です。

2007年の11月頃、初めての星獲得の知らせを受けて、公式に報道が出る前日に新聞社がシェフの写真を撮りに来ました。大抵はシェフ1人のアップの顔写真なのですが、シェフは「皆で取った星だから、皆写真に入るんだ!」と全員集合写真にこだわって清掃スタッフまで1人残らず呼んできて、全員が映った写真が翌日の新聞に載りました。

報道後は全国各地から祝福の電話が鳴りやまず・・・
1人のシェフの人生が1日にしてドラマチックに変わってしまったのを目の当たりにして、ヨーロッパにおけるミシュランの星の重みを実感しました。

私が作っていたデザートも、今日からは1つ星レストランのデザートになるのか!と身が引き締まる思いになったりもしたのでした。

ここの料理に使われる主な食材、豚、鶏、牛、卵、季節折々の野菜などはシェフの実家カサマイヤで作られています。

食材が生まれてから皿の上に乗るまでを全て自分達の「閉じられたサークル」で行うのがエルスカサルスのコンセプトです。

食材そのものがストレートに美味しく、かつ洗練された仕上げ。ここに来なければ味わえないものばかりです。

懐かしい味、新しい味に舌鼓を打ち、スペシャルな時間を堪能できました。

もうかつての同僚は1人もいませんが、日本人の若い料理人さんがシェフの隣で頑張っていました。

上階は10室のホテルなので、宿泊すると翌朝には、自家製の腸詰がずらりと並ぶ贅沢な朝食も楽しめます。

帰国後13年経った今でも、ロヴィーラ家の人々とは親戚のような関係が続いています(笑)。

4年ぶりでしたが、また時々帰って来ないと!と改めて実感しました。

もうすぐ13周年を迎える玉川学園の「カタルーニャ厨房カサマイヤ」ですが、ルーツはこのエルスカサルスと(カタルーニャの)カサマイヤなのです。

増渕友子

増渕友子

イタリア、スペイン・カタルーニャ州のレストランでの修行経験を経て、帰国後2011年よりカタルーニャ料理ベースのレストラン「カタルーニャ厨房カサマイヤ」シェフ。

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