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Something Special ~おいしいのその先に~

野堀貴則「いつの季節もロゼワイン日和」
自然を信じて造られるワイン

自然を信じて造られるワイン
野堀貴則

野堀貴則

「estación エスタシオン」オーナーシェフ。神楽坂の人気スパニッシュ「エルプルポ」を経て2015年にモダンスパニッシュとロゼワインをコンセプトに「エスタシオン」をOpen。数年前から年に一回、スペイン地方の郷土料理を学ぶ旅を続けている。特にガリシアが好き。ソムリエの資格も所持し、ワインにも精通。

  • @estacion_kagurazaka:Instagram

こんにちは!
神楽坂エスタシオンの野堀です。
今回は「ナチュラルワイン」の事をお話ししたいと思います。
ヴァンナチュール、ナチュラルワイン、自然派ワインと最近よく耳にするようになりました。
では、ナチュラルワインとは何か?
実はナチュラルワインに厳密な定義はあまりありません。というか定義しにくいかもしれない。
調べると、有機栽培で育てた葡萄を、かぎりなく人為的、化学的介入を排除して造られたワインとされてますが、なかなか曖昧です。
目の前に出されたワインが有機栽培なのか化学肥料まみれで育った葡萄なのかを判断するのは難しいですが。
ただわかることは、天然酵母でゆっくりと葡萄のペースで発酵させたワインなのか、培養酵母(イースト菌)で人工的に発酵させ、補糖、補酸をして発酵させたワインなのか。
前者の、野生酵母の力で色々な微生物の働きで生まれたワインは、優しい口当たりと香り、飲むと染み込むような飲み心地とストラクチャーを感じます。
一方後者の培養酵母で発酵させ、亜硫酸SO2を沢山使用されたワインは安定はしていますが、若いと特に飲み心地はどこか固く喉に引っかかるように僕は感じます。 

ここで考えてほしのは、培養酵母で発酵させSO2を使用したワインが悪ではありません。
野生酵母で安定した発酵を進ませるには健全な葡萄である事がが不可欠です。
生産者の細かい手仕事により農薬に頼らず自然農法に近い栽培方法をとっていることなど。
そうなると、大量のワイン葡萄の栽培や醸造はやはり化学肥料の使用や培養酵母の添加などが必要になってきます。その方が安定したワインが沢山造れますし、大量生産し流通させるには、色々と添加したりと状態を安定させる必要がある。
そしてそれはある意味、無個性なワインになってしまうようにも(大手のワイナリーでも有機栽培、SO2無添加で醸造している所もあるので誤解なく)。

ワインは農作物ともいいますが、野菜だって化学薬品を使用して大量生産された形の整った野菜より、無農薬でのびのび育った歪でも味の濃い野菜を食べたいと思いませんか?

だから僕はクラフトで造り手の背景や思いや個性を感じるマイクロワイナリーのナチュラルワインが好きです。
造り手の思いの詰まったワイン。
健全な葡萄を育てるため毎日畑に立って、栽培から醸造まで全て自身の見える範囲内で葡萄と向き合う。
テロワールの個性を反映し、自然に敬意をはらい葡萄のポテンシャルを信じて化学的なモノに頼らず造る。
そんなワインを飲むとどこかエネルギーを感じます。瓶の中でワインが活きている、フィルターも極力せず濁りや澱もそのままを瓶詰めしている造り手もいます。

近年は自然農法の規定や法律もどんどん変わってきています、使用していいSO2の量など。
有機栽培、ビオディナミに関する認証団体は欧州で40以上、欧州以外でも30以上あるようです。
まだまだ勉強しないとですね。

「ナチュラルワインは感じるワイン」
何も足さない、何にも引かない、自然に逆らわず造られる葡萄がぎゅっと詰まった液体。
そんな風にイメージしながらワインを飲んでみてください。
今まで感じたことがなかったテロワールや醸し手の想いに心揺さぶられる体験ができるかもしれません。
ワインってほんと素晴らしいですね!

最後に。
2022年9月9日
エスタシオンのすぐ近くに。
ナチュラルワインと小料理のお店
「ORI/オリ」
をOpenしました。
飲み心地のいいナチュラルなワインとおばんざいのような自由な発想で作る季節のお惣菜。
日本も含め、世界中の自然なワインをいろいろと飲めるお店です。
ふらっとワイン一杯お待ちしています。

野堀貴則

野堀貴則

「estación エスタシオン」オーナーシェフ。神楽坂の人気スパニッシュ「エルプルポ」を経て2015年にモダンスパニッシュとロゼワインをコンセプトに「エスタシオン」をOpen。数年前から年に一回、スペイン地方の郷土料理を学ぶ旅を続けている。特にガリシアが好き。ソムリエの資格も所持し、ワインにも精通。

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