増渕友子「カタルーニャのこと色々」
カタルーニャの夏の始まり サン・ジョアンの祝日
6月の日本は、雨の多いジメジメした時期ですが
カタルーニャは、そろそろ夏本番を迎える頃です。
空も海も太陽も輝きを増す、皆が大好きな季節。
私もカタルーニャに住んでいた頃は、夏が一番好きな季節でした。夜の20時、21時を過ぎても明るくて、トマトや茄子など夏野菜も美味しい。日差しは暑いけれど日陰はそよ風が心地よく、テラスで食べる夏の賄いも最高で、バカンス客で仕事は忙しくなりましたが、気持ちの良い季節を満喫していました。
1年の中で最も日が長い夏至の日に近い6月24日のFesta de Sant Joan フェスタ・デ・サン・ジョアン(サン・ジョアンの祝日)からカタルーニャの本格的な夏が始まります。
前日の23日の夜はまさに前夜祭で、Nit del foc ニット・デル・フォック(火の夜)とも呼ばれ、皆で集まって爆竹や花火、焚き火などを楽しみます。
特に若者達は夜通し爆竹を鳴らして大騒ぎするので、都市部に住む人々は寝不足必至なお祭りです(笑)。
このサン・ジョアンの祝日に欠かせないのが
Coca de Sant Joan コカ・デ・サン・ジョアンと呼ばれる甘いパンです。
ブリオッシュのようなふんわりしたパン生地の上に果物の砂糖漬けや松の実などが乗っています。このまま食べても良いのですが、横半分に切って間にホイップクリームやカスタードクリームを挟むこともあります。
皆で爆竹や花火で遊び、カバ(スパークリングワイン)で乾杯、大きなコカ・デ・サン・ジョアンを切り分けて食べて、夏の始まりを楽しむのです。
このCoca コカの話を少し。
「コカ」とは、カタルーニャを中心に、バレアレス諸島やバレンシアにおいて非常にポピュラーなパン生地で作るピッツァのようなパンのような、インドのナンのようなものです。
コカの定義は広く、甘いコカ、塩味のコカ、様々なコカが存在するので、あれもコカ?これもコカ?コカって一体??と私も初めは戸惑いましたが(笑)要は「捏ねた生地を伸ばして焼いたもの」はコカと呼んでも良いようです。
イワシや野菜をのせて焼いたピッツァのようなコカもあり、具のないプレーンなコカはトマトを擦り付けてパントマカにすることもあります。
このコカ・デ・サン・ジョアンは甘いコカの中でも一番豪華で、カタルーニャ人が大好きな「ハレの日のコカ」なのです。
もうすぐ夏、暑さは厳しいですが、夏ならではのことを楽しんで、どうぞ健やかにお過ごし下さい。
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