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Something Special ~おいしいのその先に~

増渕友子「カタルーニャのこと色々」
カタルーニャのクリスマス

カタルーニャのクリスマス
増渕友子

増渕友子

イタリア、スペイン・カタルーニャ州のレストランでの修行経験を経て、帰国後2011年よりカタルーニャ料理ベースのレストラン「カタルーニャ厨房カサマイヤ」シェフ。

  • レストラン「カタルーニャ厨房カサマイヤ」
  • @casamalla:Instagram
  • カタルーニャ厨房 カサマイヤ Facebookページ
  • カサマイヤ料理教室 YouTubeページ

11月に入ると、もう年末の気配を感じますね。
クリスマスケーキや、クリスマスディナーなどの予約受付の宣伝もたくさん見られる今日この頃。

日本のレストランで「クリスマスディナー」と言ったら、一段と豪華で、あの手この手の趣向を凝らして、毎年変化に富んでいて、、、そんなイメージではないでしょうか?

私のレストラン、カサマイヤでも、12月にはカタルーニャのクリスマス料理をお出ししていますが、世間の常識に反して?メニューは毎年ほぼ同じです。

なぜかと言うと、私がカタルーニャで毎年毎年12月25日に必ず食べていた料理をお出ししているからです。

私がカタルーニャで働いていたレストランEls Casalsエルスカサルスはバルセロナから100km先の小さな村にあり、そのすぐ近くにシェフの実家、大きな農家のお家Casa Mallaカサマイヤがあります(私のレストランの名前の由来)。

カサマイヤにはシェフのお母さんや、きょうだい家族、ロヴィーラ家の人々が住んでいます。
12月25日は日本の元旦のような日で、仕事も学校も休み、家族でクリスマスを祝います。レストランも休業で、私も毎年ロヴィーラ家のクリスマスの昼食に招いてもらっていました。

普段は使わない大きなダイニングルームには、美術館に置いてありそうなアンティークの調度品が飾られていて、奥に小さな礼拝室まであります。そんな中、20数名で長いテーブルを囲み、料理上手で有名なお母さんが作るクリスマス料理を皆でいただくのです。

メニューは毎年同じです。
まずはSopa Torrada ソパ・トッラーダというスープ。トーストしたパンをつなぎに入れたスープに肉団子が入ったもの。
(カタルーニャの一般的なクリスマスのスープはEscdella i carn d’ollaエスクデイヤ・イ・カルンドイヤという肉やパスタを煮込むスープ。このソパ・トッラーダはこの地域の郷土料理で、ロヴィーラ家のクリスマスにはこのスープが定番)
パンの風味ととろみ、優しくて懐かしい、母の愛が沁みるスープ。「今年も美味しいね!」などと皆がお母さんに声をかけながらありがたくいただきます。

そしてメインディッシュはPollastre de Nadal
詰め物を入れて焼いたクリスマスの鶏のロースト。

詰め物はカタラナと呼ばれるもので、ドライフルーツやナッツ、リンゴ、ブティファラ(ソーセージ)などを合わせて炒めたもの。焼いた後に取り出して鶏肉に添えて一緒に食べます。レストランでも使われている自家飼育の美味しい鶏、詰め物との相性も素晴らしく、この上ないクリスマスのご馳走。

食後は楽器を習っている子供達の演奏会やプレゼント大会で、終始幸せに包まれた1日でした。
私にとっては宝物のようなカタルーニャのクリスマスの思い出です。

そんな訳で、カサマイヤのクリスマス料理は変わりようがありません(笑)。このスープと鶏のローストを毎年12月限定でコースに入れています。ご興味ある方はぜひお越し下さい。

ちょっと早いですが、Bon Nadal! どうぞ良いクリスマス、年末を!

増渕友子

増渕友子

イタリア、スペイン・カタルーニャ州のレストランでの修行経験を経て、帰国後2011年よりカタルーニャ料理ベースのレストラン「カタルーニャ厨房カサマイヤ」シェフ。

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