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Something Special ~おいしいのその先に~

金子シュウイチ「no spanish wine no life」
偉大なるスペインの女性ワインメーカー ~ La gran enóloga española ~(前編)

偉大なるスペインの女性ワインメーカー ~ La gran enóloga española ~(前編)
金子シュウイチ

金子シュウイチ

都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。

  • marisqueria SoL | 六本木のスパニッシュバル

こんにちは。マリスケリア・ソルの金子です。

熱い夏が過ぎやっと味覚の秋の到来ですね。今年は夏らしい夏を満喫できずに終わってしまった方も多いのではないでしょうか??僕も今年は何処にも行きませんでした。その分東京オリンピック→夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)→東京パラリンピックとスポーツに釘付けの毎日でした。
選手の素晴らしい活躍と泣けるような感動的なストーリーにも沢山出会え、僕自身は楽しい夏をゆっくりとクーラーの下で楽しむことが出来ました。
そんな中、ソフトボール、スケートボード、バスケットボール、ゴルフ、柔道、卓球、ボクシング、レスリングなど、凄まじい活躍をした女性アスリートには沢山の感動を頂きました。誇らしく、凛とした姿には敬意すら感じました。

その感動が冷めやらぬ今、今回はスペインの女性醸造家にフォーカスしてお話をさせていただこうと思います。
前回のコラムでも紹介させて頂いた、カタルーニャで自然派ワインを手掛けるSurie Sakaiさんのようにスペインにも沢山の女性がワイン作りに携わっています。
ワイン造りには、その土地の気候や風土などテロワールが強く影響を与えるといわれていますが、僕は更にその先に造り手のフィロソフィーや、思い、人間性、性格などが味わいに表現されていると感じることが多々あります。

ワイン作りの半分は農作業です。体力は必須ですし、収穫してから瓶詰めまでは、俊敏性、知識、忍耐力、決断力、行動力と全てが必要となってきます。そんな大変なワイン造りですが、現在スペインでも多くの女性醸造家が活躍しています。歴史を作ってきた偉大なワインメーカーやハートフルで独自の感性でワインを造る素晴らしい醸造家など僕なりに紹介したいと思います。

1. マリア・ホセ・ペレス / bodegas López de Heredia /Tondonia

はじめに紹介するのは、リオハの先頭を走り続けている名門ワイナリーボデガス・ロペス・デ・エレディア又はトンドニアのマリア・ホセ・ロペス・デ・エレディナです。このワイナリーはもうじき160周年を迎える家族経営のまさにリオハを象徴するワイナリーです。ボデガ自身の歴史、ワインの個性と品質、伝統的なやり方から一寸もそれないという意志の強さを女性の視点から魅力的に弾き続けているワイナリーです。スペインの象徴リオハの歴史を語る上でも外すことの出来ないこのワイナリーを力強く牽引している正に立役者です。昔のスペインを良く知るお客様には懐かしく、喜ばれるワインの一つです。リオハに行った時、どのレストランでも必ずと言っていいほど見かけるワインですね。

2. サラ・ペレス / Venus la Universa

D.O.Caプリオラートの改革を担った『プリオラートの四人組』の一人、ホセ・ルイス・ペレス氏の娘でスペインを代表する女性醸造家であるサラ・ペレス女史です。彼女は同じく四人組の一人、ルネ・バルビエ氏の息子ルネ・バルビエJr氏と結婚をし、D.Oモンサンでワイン作りを始め、カリニェナの価値を世界レベルに引き上げ『カリニェナ・クイーン』と呼ばれ伝説の女性醸造家となりました。モンサンで『エレガントなワインを生む母になりたい』という願いを込めてワイナリーの名を『普遍のヴィーナス』という意味のべヌス・ラ・ウニベルサルと命名したそうです。醸造には野生酵母のみを用い、ゆっくりと醸造、SO2の添加は極微量、近年はより大容量の樽やフードルなどを素焼きの壺を熟成に使う割合を高め樽のストラクチャーや影響を出しすぎないスタイルを目指しているそうです。来日の際お会いしたことがありますが、夫のルネ・バルビエJr氏と共に素晴らしい人格者だと感じました。この先もモンサン、プリオラートをけん引していくのだと強く感じたのを覚えています。

3. ソレダード・マリソル・ブエノ&ビッキー・ブエノ、アナ・キンテラ / Pazo de Señorans

今ではアルバリーニョというブドウ品種の認知度もかなり広まりましたね。日本でも生産する作り手も増えてきています。そんなガリシア州リアス・バイシャス発祥のアルバリーニョ種を語る上で忘れてはならないのはソレダード・(マリソル)・ブエノ女史です。パソ・デ・セニョランスを誕生させたのは、何よりも彼女の勇気です。彼女は情熱に溢れ説得力のある女性で、自身のボデガだけでなく、リアス・バイシャス統制委員会の会長としてもガリシア地方で上質のアルバリーニョをつくるという理想の主導を目標に定め、醸造家のアナ・キンテラ、娘のビッキーと共に1980年代末のD.O.リアス・バイシャスの誕生に尽力し、その後の飛躍的成長を担った人物です。丁度ギア・ぺニンの創設者ホセ・ぺニン氏が2015年に日本に来日した時に白ワインで最高得点をたたき出したのが、Pazo de Señorans Selección de Añada 2007でした。懐かしい…。

4. グロリア・ガリーガ&ベルタ・ガリーガ /els jelipins

このアルス・ヘリピンスというワイナリーはグロリア氏と娘のベルタがバルセロナ郊外ペネデスのフォントルビの丘に拠点を置き、自然に感謝しながら、パーソナルの豊かさを追求して生活を送りたいという願望から生まれたプロジェクトです。このワイナリーはカタルーニャ州のペネデスという地で標高600~700mの高地で絶滅寸前だった樹齢100年のスモイ種などをビオディナミ農法で栽培して造られています。近代的な技術を一切使わずに造る彼女のワインは『神々しいワイン』と称され、最も入手困難なワインと言われています。寝床の下に熟成室があったりと、彼女の生き方やフィロソフィーを知ると、本当に自然と葡萄と対話をしながら造っているんだなぁと感じてしまいます。
グロリア氏は『ワインを通して人生に対する考え方を表現することを目指しています。』 と言っています。彼女のワインを飲むと本当に彼女の人生感、生きることの意味、フィロソフィーを真に感じることが出来ます。
数年前に娘のベルタと一緒にワインを飲む機会がありましたが、まだ彼女は17歳ぐらいだったと思いますが、僕が『日本じゃ未成年だよ。』と言ったら、『スペインは16歳からお酒が飲めるから大丈夫よ!』と言っていた彼女が今や一児の母ですから時が経つのが早いですねw

5. ロサリア・モリーナ / ALTOLANDON / Milhistorias

ジョディー・フォスターに似たロサリア・モリーナ女史。彼女の手掛ける『Alto Landon(アルト・ランドン)』という名のこの小さなワイナリーは、マドリッドから約150km東の県都Cuenca(クエンカ)、D.O.マンチュエラのエリアにありオーガニック農法の若手の作り手としてはスペインでもすでに知名度も高く、Milhistorias(数多の物語)は彼女の新しいプロジェクトで、なんと!1100mの標高で、虫もカビもいない土地で自然的なブドウ栽培を行っています。彼女のワインの特徴は固有品種だけでなく、マルベックやカベルネ・フラン、トゥーリガ・ナシオナルなどスペインではあまり栽培されないようなブドウを土壌に合わせて栽培しているのも特徴です。どのワインのエチケット(ラベル)もとても可愛らしく贈り物にもピッタリだと思います。

まだまだご紹介したいところですが、後編は次回に又お話します。

こんなご時世ですし、皆様ご自宅で美味しいワインに浸りながら、ゆっくりと食欲の秋を満喫してみてはいかがですか??
弊社の商品もおうちでお楽しみいただけます。ご購入はグランジャポンオフィシャルショップ『CASA GRANJAPON』をご覧下さい。

魚介専門店六本木一丁目「マリスケリアソル(marisquería sol)」のご紹介

魚介専門店六本木一丁目「マリスケリアソル(marisquería sol)」
店舗情報
住所 〒106-0032
東京都港区六本木2-3-6セントラルクリブ六本木2-1F
アクセス 東京メトロ「六本木一丁目駅」3番出口より徒歩2分。東京メトロ「溜池山王駅」13番出口より徒歩6分。東京メトロ・都営大江戸線「六本木駅」6番出口より徒歩7分。「六本木一丁目駅」3番出口を出て、歩道橋で麻布通り・六本木通りを渡る。歩道橋を降りて、すぐ右手に現れる店舗へ。
URL http://www.marisqueria-sol-roppongi.com/
金子シュウイチ

金子シュウイチ

都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。

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