Ganjapon - グランジャポン

Something Special ~おいしいのその先に~

岩瀬大二「酒で旅するスペイン」
お正月料理×スペインワインを上手に楽しくあわせる3つのアイテム

お正月料理×スペインワインを上手に楽しくあわせる3つのアイテム
岩瀬大二

岩瀬大二

酒旅ライター、ワインナビゲーター、MC。専門誌、WEBマガジンをはじめ酒と旅をテーマとした執筆多数。ワイン学校「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本最大級のスペインフェス「フィエスタ・デ・エスパーニャ」2020年実行委員長。

  • daiji iwase+W

おせちにワイン、正月らしい食材にワイン。
結構、普通の光景になってきましたね。また、華やかなお祝いの場であればスパークリングワインで乾杯!も楽しいもの。

実はスペインワインもお正月のいろいろにぴったりの存在。そもそも、このコラムでも紹介しているように、スペインの食文化は日本の食文化と近いものがありますから(地域により異なる多彩な魚介、米、出汁感などなど)、日本のお正月に良く食すものでもスペインワインで大いに楽しめます。そのままでもいけるものもありますが、お互いをよりそわせればもっと深みも広がりも感じられるでしょう。

そこで今回は、「お正月は“和西”で楽しく!~そのための3つのアイテム」と題してペアリングのヒントを紹介しましょう。

オリーブオイル

ひとつめのアイテムは、オリーブオイル。世界で最大の生産量を誇るスペイン。

品種によってさまざまな味わいがありますが、総じて和食にあう。なぜか?という学術的なエビデンスは持ち合わせていませんが、煮物にかけたり、炒め油に使うと、不思議と旨味が増す。さらなる利点は、オリーブオイルを媒介にして、ワインとの距離も縮まること。

僕が好きなのは、お雑煮にオリーブオイルを2回し。入れる餅でも、角餅、丸餅、固め、柔らかめ、焼くか煮るか、汁はお吸い物系か味噌か、その味噌も甘めか濃い目か、白か茶か、野菜は何をどれくらい? などなどお雑煮は日本各地でいろいろありますね。

うちは東京なので、すました汁に焼いた角餅をひとつかふたつ。小松菜とナルトと鶏肉をちょっとずつ、というもの(東京でも各家庭で微妙に違ってそれもまたいいものです)。ここにオリーブオイルを入れると、お雑煮そのもの風合いもぐっとあがってくる上に、スペインの白、少し熟成したようなタイプとの距離がぐっと近づきます。カジョス(スペインのもつ煮込み)にも似た出汁の旨味が強調されてくるんです。薄味に見える東京風のお雑煮ですが、実は出汁の旨味はちゃんとある。これがオリーブオイルとともにしっかり感じられる。さらにゆずもちょっと絞れば、地中海側の軽めの白ワインとも良き感じになります。

お正月のお刺身。マグロやホタテが定番でしょうか。これももちろんオリーブオイル。ブラックペッパーやピンクペッパー、少々ハーブなどを添えればカルパッチョということになるのでしょうが、もう少し和によせて、甘めの醤油にオリーブオイル。ここにスペイン産の塩をちょっとだけ入れてまろやかに〆る。オリーブオイルのおかげで過剰な塩っ辛さがなく、マグロの脂、ホタテの甘味を存分に楽しませてくれます。ここはビール、一般では手に入りにくいですが、グランジャポンで扱っているオリーブビール「オリーバ」もおススメ。

ブリの刺身も、この醤油+オリーブオイル+塩にオリーブビールの組み合わせは抜群の相性です。ホタテなら少しサフランを振って、醤油+オリーブオイル+塩。カツオのタタキなら、塩麴とオリーブオイルにニンニク。こちらはシェリーもいいですね。

ハチミツ

続いてのアイテムはハチミツ。

おせちに欠かせない黒豆や伊達巻といったそもそも甘みのあるものは想像しやすいかと思いますが、僕が好きなのはお餅の磯部巻き、そして焼豚。磯部巻きは醤油と砂糖に焼いた餅をからめて海苔で巻いて、というものですが、砂糖の代わりに蜂蜜をつかうと、これがロゼワインと好相性に。餅の焦げ目、蜂蜜の甘味と何とも言えないハーモニー。海沿いの生まれの磯の感じがするワインであれば海苔とも心地よく。焼豚は表面が赤い中華街風のおめでたい感じのものがおススメ。八角などの中華的なスパイスがあるほうが蜂蜜との相性はさらに増します。これにはオロロソやアモンティリャードと言った少し熟成感のあるシェリー、スペインのブランデーなどでじっくり。もちろん複雑なスパイスのある赤ワインも、グラスと箸が止まらない組み合わせ。もちろんともに、ミード(はちみつワイン)は鉄板の組み合わせです。

意外と思われそうな僕の好きな蜂蜜+正月料理は、カマボコ。板わさ的な食べ方が定番ですが、蜂蜜をかけてそこにブラックペッパー。これとオフドライ(中辛口)の酸と甘みがある白ワインは、ちょっとした背徳グルメ。グルメというにはかなりB級な感じですが、白ワインと合わせると星付きレストランの創作アミューズな錯覚……といったらさすがに言いすぎですかね。カニカマも同様に。そしてちらし寿司の隠し味にも。ほんのりと香る甘さとやや甘めのカバ。さらにオリーブオイルも混ぜ込めば、ロゼも。

ANETO アネトスープ

最後にグランジャポンの「アネト」。パックを開ければそのままスープ出汁として使えるということで、パエリアなどに便利なんですが、これを鍋料理に使うのもあり。

全部ということではなくもともとの出汁に良き感じの量をまぜてコクを出す。「お魚スープ」は寄せ鍋や金目鯛の煮つけ、「チキン・生ハムスープ」は博多風の水炊きや根菜の煮物に。治部煮や白味噌を煮込むタイプのお雑煮にもコクを与えてくれます。このスープを使うことで、ほかほかの料理をキリっと冷やした白ワインに寄せてくれます。生ハムスープを使った洋風雑煮。マッシュルーム、しいたけ、大根、豚肉に焼餅。オリーブオイルとゆずもお忘れなく。こちらは軽めの赤ワインかじっくり旨味のある白ワインで。また生ハムスープを出汁として使えば、カマボコのアヒージョなんてアレンジレシピも面白い。こちらはスペインワインではなく逆に和酒、例えば米焼酎のソーダ割り。

少々、妄想が止まらなくなってきました。お正月という伝統行事。伝統といっても時代や気分に合わせて変わってきたからこそ続いていくもの。楽しくなければ続きませんからね。ふだん楽しんでいるスペインのアイテムやお酒を、お正月という日常の中の非日常で。きっと面白い発見があることでしょう。

岩瀬大二

岩瀬大二

酒旅ライター、ワインナビゲーター、MC。専門誌、WEBマガジンをはじめ酒と旅をテーマとした執筆多数。ワイン学校「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本最大級のスペインフェス「フィエスタ・デ・エスパーニャ」2020年実行委員長。

  • daiji iwase+W

カテゴリ:

タグ:

© 2006 Granjapon.