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Something Special ~おいしいのその先に~

納堂友幸「情熱のアンダルシアワインde乾杯!」
シェリー(Sherry)って何で英語なの?

シェリー(Sherry)って何で英語なの?
納堂友幸

納堂友幸

スペインバルの店長として約15年勤め、2021年よりアンダルシア州政府公認の「初代アンダルシアワイン・アンバサダー」に就任。ソムリエ、公式ベネンシアドール、日本ワイン検定1級を持つ。スペイン業界の赤い彗星。

¡Hola!情熱スパニッシュ!西荻窪アピエ店主の納堂です!今日は、スペイン・アンダルシアのワインが、なぜ英語で『シェリー』呼ばれるようになったのか?を少しシェリーの歴史を含めて軽~くお話させて頂きたいと思います!(^^)

さてさて、シェリーは、スペイン・アンダルシア地方のワインなのに、なぜ英語で『シェリー』と呼ばれているのか、疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
通常のワインであれば、現地の言語で、呼ばれるのが普通ですよね。
スペイン本国では、シェリーのことは、もちろんスペイン語で『Vino de Jerez(ビノ・デ・ヘレス) 』=ヘレスのワイン=と言います。(ヘレスとは、シェリーの産地のスペイン語です)
なのに、なぜ、シェリーは、スペイン以外では、シェリーと呼ばれるかと言いますと、シェリーには、ドラマチックな歴史があるからです!

シェリーの産地は、長い歴史の中で、支配する国が変わる度に、地名も変わりました。
シェリーの語源になったのは、アラブの支配下にあった時の地名の『シェリシュ』でした。
13世紀ごろからイギリスのエリート層の中で、『シェリシュ』のワインが徐々に人気となっていきました。(なぜなのか?を説明すると長くなりますので今回は端折ります)

イギリスでのシェリーの人気を決定づける事件が起こりました。それは、16世紀にイギリスの海賊フランシス・ドレイク卿の艦隊が、カディスの港を襲い約3000樽ものシェリーを略奪‼し、イギリスの宮廷に献上しました。(昔は、宮廷公認の海賊がいたそうです)それを切っ掛けにイギリス王家を中心にパブでもシェリーが大流行しました!、、、なんとも、皮肉な感じですが、、、(^^;
そのシェリーがイギリス内で大流行した様子は、シェイクスピアはじめビクトル・ユゴーやアレクサンドル・デュマの作品の中にも登場してくることからも伺えます。(って、自分はまだ読んだことありませんが、、、^^;)
更に、長期輸送に耐えられるお酒ということで、コロンブスの新大陸発見やマゼランの世界一周にもシェリーは船に乗せられ(世界一周した初めてのお酒はシェリーなんです!)、船乗り達の疲れを癒すお酒や祝杯として飲まれ、イギリスだけでなく世界中に広まるきかっけとなりました!

今現在も、イギリスのほとんどのパブにはシェリーが置いてあり、「必ずシェリーを一杯飲む」という習慣があるぐらい人気があります!
シェリーの歴史をかいつまんで説明いたしましたが、要するに、シェリーを世界に広めたのは、イギリス人なので、英語の『シェリー』が、一般的な呼び名として世界中に広まったのです!

スペイン人はシェリーを略奪されただけで、世界に広めるための努力を何もしてないように思われるかもしれませんが、、、美味しいシェリーをつくったのがスペイン人の偉業ということで、ご理解下さいませ。(^^;)

さて、イギリスでよく飲まれるシェリーのタイプは、甘口で『ペイル・クリーム』、『ミディアム』、『クリーム』といった英語名が付けられています。(ちなみに、辛口のシェリーのタイプ名は、全てスペイン語です。)
ではでは、簡単に、イギリス人に人気のシェリーをご紹介いたします!

『ペイル・クリーム/Pale Cream』

辛口シェリーのフィノタイプをベースにして、ブドウの濃縮果汁で甘みを加えたライトで優しい口当たりの甘口シェリー。食前酒としても良いですし、みりんを使った和食との相性も抜群です!

『ミディアム/Medium』

辛口エレガント熟成シェリーのアモンティリャードをベースに極甘口のペドロ・ヒメネスをブレンドした、琥珀色から明るいマホガニー色で、繊細な香りとまさにバランス良いミディアムな甘さが特徴。イギリスのパブでは一番良く見かける人気のシェリー!

『クリーム/Cream』

辛口ヘビー熟成シェリーのオロロソをベースに極甘口のペドロ・ヒメネスをブレンドして造られるため、濃いマホガニー色で、レーズンを思わせる深みのある甘味と香り。ミディアムより、濃厚で甘くフルボディ!デザート代わりとして食後にゆっくりと楽しむ時におすすめの甘口シェリーです!

イギリスはじめ、オランダ、ドイツ等の北の寒い地域の方は、辛口シェリーよりも甘口シェリーの方が好まれて飲まれているようです。

日本もこれから、秋から冬にかけて寒くなってまいりますので、ぜひ、ミッシェル・ポルナレフでも聞きながら、食後に一杯、甘~い「シェリーに口づけ」してみては、いかがでしょうか?(^^)、、、お後がよろしいようで、、、m(__)m

納堂友幸

納堂友幸

スペインバルの店長として約15年勤め、2021年よりアンダルシア州政府公認の「初代アンダルシアワイン・アンバサダー」に就任。ソムリエ、公式ベネンシアドール、日本ワイン検定1級を持つ。スペイン業界の赤い彗星。

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