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Something Special ~おいしいのその先に~

金子シュウイチ「no spanish wine no life」
偉大なるスペインの女性ワインメーカー ~ La gran enóloga española ~(後編)

偉大なるスペインの女性ワインメーカー ~ La gran enóloga española ~(後編)
金子シュウイチ

金子シュウイチ

都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。

  • marisqueria SoL | 六本木のスパニッシュバル

こんにちは。マリスケリア・ソルの金子です。
随分と寒くなってまいりましたね。11月のワインの行事と言えば、毎年「第三木曜日」に解禁されるフランスボジョーレ地区のその年の新酒の解禁日で有名になりましたね。
皆さんはスペインにも、そういった行事があるのをご存じですか??
スペインの新酒のことを『ビノ・ヌエボ(Vino Nuevo)』と言います。そしてスペインの新酒の解禁日は11月11日になります。オーストリア『ホイリゲ』もスペインと同じ11月11日です。
因みにイタリアは『ヴィーノ・ノヴェッロ10月30日』、ドイツは『デア・ノイエ11月1日』です。
我が日本にも山梨県のワイン酒造組合によって2008年の11月3日に新酒の解禁日が設けられました。
話は戻りまして、実はスペインの新酒『ビノ・ヌエボ』の解禁日の11月11日は聖マルティンの日というキリスト教の聖名祝日の日です。この日は収穫祭の日であり、冬の始まりの日ともされており、昔から新酒とともに様々な行事が楽しまれてきました。ただ、収穫祭は地方により12月の第1週前後と言われる説もあります。この日はスペインでは、「マタンサ(matanza)」という豚肉の保存食の準備の季節でもあります。様々な「エンブティードス(EMBUTIDOS)」と呼ばれる腸詰類や、豚料理で冬の準備をします。イベリコ豚の生ハムなどが日本では良く目にしますが、スペインには数多くの腸詰類があるのも特徴です。
バルセロナで『La Botifarreria de Santa Maria』という腸詰専門店に行ったのが懐かしいです。
是非この時期にスペインワインを楽しむなら、スペインの豚料理と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか??
さて前回のお話、スペインの女性醸造家の続きです。

6. エリサ・ウーカル / Domaines Lupier

彼女に初めて会ったのは数年前のFOODEXでした。ナバーラ州の樹齢60年~100年のガルナッチャ主体のたった2種類のワインのみでブースに立っていたエリサ女史。一口飲んで五感が震えたのを覚えています。ナバーラ州でワイン作りを行っているエリサ女史は夫のエンリケ氏とワイン作りを行っています。15年以上スペイン全土のテロワール研究を重ねたエンリケ氏と、経済学を修めてMBAも取得、そして12年以上ワイン造りに携わったエリサ女史が表現するワインは、ビオディナミ農法を用い、植物の生育サイクルに影告することは一切せず、ハープを煎じた堆肥を使用するなど自然を尊重したプドウ栽培を実践しています。醸造に至ってもテロワールが育んだプドウの個性を壊さない様、人為的な介入を最小限に抑えています。二人は『私たちにとってワインは自然であり、喜び』と表現するように、ブドウを通じてこの土地をワインで表現することに人生をかけた夫婦です。リリース後瞬く間にナバーラのトップワイナリーまで成長し、2015年のデキャンター氏で世界のTOP50に選ばれたことでも有名になりました。

7. ビクトリア・トーレス・ぺシス / VICTRIA TORRES

島の3分の2がユネスコ生物圏保護区に指定されている世界一の天体観測値カナリア諸島にある『ラ・パルマ島』。つい先日火山の噴火により膨大な被害を受けているこの島ですが、現地の方の醸造ではワイナリーは無事だったそうで一安心しました。このワイナリーは家族が代々繋いで来た宝物の畑を守り続け、たった一人で全ての仕事をこなす女性醸造家がいる。それがビクトリア・トーレス氏です。1300mの標高にある畑はピエ・フランコ(自根)と言われるカナリア諸島にあるため長年フィロキセラによる影響を受けない固有品種が多く残っています。そこで固有品種リスタン・ネグロ、ネグラモル、アルビージョ・クリオリョ、マルバジア・アロマティカ、ビハリエゴなどを栽培しています。自然への慈しみ、その畑を守ることを「Small significant things 小さいけど大事なことたち」と表現し、自分のことを『私はリスタン・ブランコのようなものです』と語る彼女の言葉には、一人でパルマ諸島のブドウを守り、表現し続ける彼女の決意、繊細さ、滋味深さを感じ、凛とした静けさをたたえる彼女の人柄が表れており、個人的にもずっと追いかけていきたい生産者の一人です。

8. フリア・カサド・マルコ / La del Terreno

南東部のムルシア州、ブーリャスというDOがあります。この土地でモナストレルという品種を用い、ワイナリーを一人で起業したパワフルな新人生産者です。なんと!彼女元チェロ奏者です!音楽家からワイン醸造家に転向した珍しいキャリアの持ち主なのです。一件破天荒に見えますが、しっかりとアリカンテの大学で醸造学を学び、ヨーゼフ・ビファー(ドイツ)、ベガ・シシリア(スペイン)、オーフルニエ(アルゼンチン)などでしっかりとワインを学び、独自のアイデンティティーで自然的なワインを手掛けています。『ワインと音楽には多くの共通点があります。ハーモニーというコンセプトは調和と緊張感なくして成立しない』と語るフリア氏。偶然にもファーストビンテージから飲み続けていますが、日々進化し続ける彼女のワインにはやはりチェロの演奏が聴こえてくる気がします。

今回全2回に渡ってご紹介したスペインの女性醸造家はあくまでほんの一部です。他にも紹介したい方は沢山いますが、また機会がありましたら是非ご紹介したいと思います。

寒い冬は美味しい魚介類が盛沢山です。クリスマスや自宅で楽しめる当店おススメのミールセットはいかがですか??

魚介専門店六本木一丁目「マリスケリアソル(marisquería sol)」のご紹介

魚介専門店六本木一丁目「マリスケリアソル(marisquería sol)」
店舗情報
住所 〒106-0032
東京都港区六本木2-3-6セントラルクリブ六本木2-1F
アクセス 東京メトロ「六本木一丁目駅」3番出口より徒歩2分。東京メトロ「溜池山王駅」13番出口より徒歩6分。東京メトロ・都営大江戸線「六本木駅」6番出口より徒歩7分。「六本木一丁目駅」3番出口を出て、歩道橋で麻布通り・六本木通りを渡る。歩道橋を降りて、すぐ右手に現れる店舗へ。
URL http://www.marisqueria-sol-roppongi.com/
金子シュウイチ

金子シュウイチ

都内でスペイン料理店を展開するSoLグループ株式会社ソルインターナショナルの統括マネージャー/統括ソムリエ。イベント企画やセミナー講師などを通じ、スペインワインの普及に尽力。スペインのクラフトワインとスポーツを愛してやまない。

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