髙橋綾乃「\もっと/チャコリを飲もうよ」
チャコリとともに地元に帰れた話
Kaixo!(カイショー!:バスク語で「こんにちは」)
バスクワイン専門店「チャコリを飲もうよ」の店主であり、
「チャコリ伝道師」の髙橋綾乃です。
実は先日、ものすごく久しぶりに自分が育ったふるさとに帰ったのです。
今日はその時のお話をしたいと思います。
15年以上ぶりの、ふるさと
前回のコラムで実家に帰ったと書いたので、「あれ?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
実は両親は現在、下田に住んでいるのですが、私が育った町は、そこから山をひとつ越えた西伊豆にある松崎町です。
実家が下田に移ったこともあり、松崎はなかなか帰る機会のない場所になっていました。
そんな故郷に、今回はチャコリとともに帰ることができました。
きっかけは、中学時代の同級生であり、松崎出身の画家・北見美佳さんに声をかけていただいたことです。
北見さんは、私と同じ松崎中学校の出身で、現在は画家として活動されています。
その北見さんが、松崎に新しくできたレストランで個展を開催することになり、そのイベントの一環として私にも声をかけてくれました。
そしてなんと、彼女の絵とともに、チャコリを地元・松崎で紹介するという機会をいただいたのです。
ずっと帰りたいと思っていた場所に、まさか自分の愛するチャコリとともに帰ることになるとは、正直、思ってもいませんでした。
ただ、実際に帰るまでの道のりには、不安もありました。
何せ15年以上ぶりの帰省です。
地元の友人たちや、知っている人たちとも、ほとんど連絡を取っていない状態でした。
そんな中で、どのくらいの人が来てくれるのか。
そもそも、私のことを覚えていてくれている人はいるのか。
そんなことを考えると、少し怖さのようなものも感じていました。
深い緑の山々に囲まれた松崎町。道中の様子。
薪火レストラン、クエビコとの出会い
松崎に着くと、そんな私の気持ちは一気に変わりました。
まずは今回迎えてくれたレストラン。
松崎町の真ん中にあり、私が住んでいた場所からもすぐ近くに、こんなに素敵なレストランができていたことに、まず驚きました。
レストランの名前は「Quebico」(クエビコ)。
‘「クエビコ」という名前は、古くから日本に伝わる案山子の神様(土地を司る神)にちなみ、ラテン語では「尖ったくちばし」を意味します。
ライブファイヤーの力強い調理法を象徴する、ぴったりの名前だと感じ、命名しました。’
(お店のHPから引用させていただきました。)
このお店は薪火料理のレストランで、すべての料理を薪の火で調理しています。さらに、その熱エネルギーを利用してお湯を循環させる仕組みまで作られていて、ガスを一切使っていないという、とてもユニークで力強い取り組みをされているお店でした。
この「薪火」という点にも、私はどこか運命的なものを感じてしまいました。
バスクには薪火料理で有名なお店がいくつもあり、薪や熾火で調理される料理は、私にとってとても印象深いものです。どこか原始的でありながら、素材の力を最大限に引き出すその調理法は、バスクらしさを強く感じるもののひとつでもあります。
そんな薪火のレストランが地元・松崎にできていて、さらにそこで私がチャコリを紹介できる。
そのこと自体が、どこか奇跡のように感じられました。
そしてもうひとつ、今回の不安を大きく支えてくれたのが、北見美佳さんの存在です。
彼女の描く絵はとても力強く、生命力にあふれていて、見る人を惹きつけます。私自身もその魅力に引き込まれた一人であり、そんな彼女の作品とともにこの場に立てることが、とても心強く感じられました。
薪火で焼き上げるおいしいきのこ!真ん中の卵黄を崩していただきます

北見さんの力強い絵画たち

再会と再発見の時間
イベントが始まると、来てくれる人はいるのだろうか、覚えていてもらえるのだろうか、という不安は一気に消えていきました。
中学時代の同級生や恩師、そして近所に住んでいて、小さい頃から私のことを知っている方々。
本当にたくさんの人たちが来てくれて、「久しぶり」「帰ってきたんだね」と声をかけてくれました。
そして、私がバスクやチャコリについて話すと、とても熱心に耳を傾けてくれて、一緒に楽しんでくれました。
ワインもたくさんの方に手に取っていただき、本当にありがたい時間でした。
また、クエビコという場所を通して今回初めて出会えた方々も、とても印象的でした。
地元の方々だけでなく、松崎に魅力を感じて日本各地から移住してきた方々など、さまざまな背景を持つ人たちが集まっていて、思いがけない共通点が見つかったり、会話が弾んだりと、新しいつながりもたくさん生まれました。
バスクの話にも興味を持っていただけて、その場でまた別の土地とつながっていくような感覚もあり、とても充実した時間でした。
あっという間の2日間でした。
そして今回の帰省を通して、私は「実家がなくても帰れる場所がある」ということを、たくさんの人たちから教えてもらいました。
その感覚がとても嬉しくて、またここに関わりたいと思い、夏の繁忙期にクエビコさんでアルバイトをさせていただけないか、オーナーご夫妻にお願いをしました。もちろん、チャコリを持って。
そのお話については、また改めて書けたらと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ではまたね!Agur!


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